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サバティカル休暇制度が人材を救う

サバティカル休暇というものをご存知でしょうか。もともと、ヨーロッパの大学教授たちが、1年間など自身の研究のための時間として活用していたものでした。それが広がりを見せ、小説家なども活用する制度になり、最近では国内の企業でも導入が増えているといいます。サバティカルの語源は、ラテン語で「安息日」、「何もしてはいけない」という主旨だったようですが、大学教授の研究のために使われることが多いとすると、教授たちが大手を振って研究という名のお休みを取っていたのではと勘繰ってしまいそうです。

今月は、サバティカル制度をはじめとした特別休暇の活用について考えてみます。

サバティカル休暇制度にはさまざまなメリット、デメリットがあります。まずメリットは、自身の見聞を広めるために国内、海外を旅行してリフレッシュする、それによって働く人の成長にもつながり離職防止になるという面がある一方で、デメリットとして、休暇中の社会保険料などの扱いをどのようにするかなどの問題があります。これは企業で定める一般的な休職制度と同様にお給料が発生しない分、社会保険料や住民税などを定期的に振り込んでいただくなどの対応も考えらます。また、この制度を活用中に得た知識や経験を元に、新たな事業や転職などの可能性もあるため、企業の人事部門としても、回収しなければならない問題などを明確にしておかなければならないなど、単に休暇を取るだけではないということになります。

国は兼業・副業制度を推奨していますが、働きながらかそうでないかという違いはあるものの、見聞を広げるという目的では同意義にも思えてきますので、結果的に労働移動なども考えられるということです。

他にも法律以外の特別休暇制度としてあげられるものが、2年間の時効によって消滅してしまう年次有給休暇の積み立て制度です。なかなか有給休暇の取得が進まずやむなく消滅してしまう有給休暇の日数を限度と理由を決めてプールしておく制度です。最近では、がん治療など働きながら治すという考え方も多いことからそういった万が一のために活用できる制度を創設する中小企業も増えてきています。

そんな中、国内の企業でも導入をし始めていると申し上げましたが、ここにきて「雇用調整」の意味合いも出てきているようです。サバティカル制度の中長期な休暇を活用し、コロナ禍による雇用喪失の機会を少なくするために有効な制度として活用する事例もあります。コロナによって大打撃を受けている航空業界では、社会保険料も企業が負担し効果を期待しているとのことです。

また、高齢化社会に進む中で再度学び直しを推奨する動きもあり、リフレッシュとスキルアップされた知識が企業にもたらす効果も大きいと考えられるようです。

制度を導入するにあたって気をつけなければならない点は、期間や理由などをどのようにするかという点です。サバティカル休暇の場合は前述したような考え方になりますが、積み立て有給休暇制度の場合は病気休暇などの目的が多いなどの違いがあります。

また、休暇を取得するとお給料が出ないケースがほとんどとすると、その分の資産形成もしておかなければなりません。

コロナ禍によって大きな打撃を受ける業界にとって、アフターコロナにおける人材の確保が一番の焦点となります。そうなった場合に定着を図ることと、スキルアップされた人材が社内に確保できているということは大きな強みとなることでしょう。

人材があまってしまったので解雇をするなどの雇用調整ではなく、新たな制度を活用した試みが、引いては企業のイメージアップにも奏功しそうな感じを持っています。