コロナ禍によって雇用環境にも新しいスタイルが出てきて、リモートワークが主体となったりオフィスを持たない環境作りだったり、一気に働く環境の変化に加速がつきました。一方で、働き方改革の波の中にはD X(デジタルトランスフォーメーション)の進化によって私たちの生活に大きなメリットになる反面、技術革新がもたらす人員整理を行うことも少なくなく、新しい雇用スタイルの実現には様々な問題がつきまといます。
働き方を変えていく中でも、公的保険は私たちの生活を支えてくれる大切なツールですので、今月は退職後の保険関係についてまとめてみます。
まず、自分の知識や経験を活かして事業を起こすために早期退職の選択をしたり、または対象者になってしまったりした場合、また何らかの理由によって退職した場合など、健康保険はどのようになるのかを確認しておきましょう。
会社を退職した後の健康保険の選択肢は三つです。
一つ目として、これまで加入していた健康保険の「任意継続制度」を利用することです。退職前に継続して2か月間の被保険者期間がある方は、20日以内に届出を行うことで2年間任意継続被保険者となることができます。この任意継続被保険者は任意でやめることはできませんでしたが、改正によって2年間の途中であっても任意にやめることができる制度になりました。
二つ目は、国民健康保険の被保険者となることです。お住いの市区町村で手続きすることになります。保険料については、その方の前年の年収によって異なりますが、それを一括か10回の分割で納付するので、割と大きな負担となります。任意継続被保険者制度はこれまでの2倍の保険料負担があり、また国民健康保険も前年の年収によって保険料が決定するため、いずれも大きな負担になりますので、いずれか決定する前に協会けんぽ、組合健保、各自治体などで保険料の確認を行うことをおすすめいたします。
三つ目は、家族の被扶養者になることですが、60歳未満であれば130万円未満、60歳以上や障害のある方の場合は180万円未満の収入の上限があることなどの情報は確認しておきましょう。ただし、130万円未満の方であっても、実際の手続きの際には税法上の扶養であることを確認されることもありますので、加入する制度によっての対応を確認しましょう。
また、会社都合による退職や解雇などの場合は、国民健康保険の軽減措置を受けられることがあります。こちらは自治体の広報などを確認するとよいでしょう。
退職後の働き方としてフリーで働く人も増えてきました。フリーランスを選択する方にも様々な理由があって選択されるものと思いますが、実際には自由な働き方を得られる反面、福利厚生面でのハンディを追うことになってしまいます。自分のやりたい時間に、やりたい仕事をする、さらに社内だけにとらわれないため見聞が広がるなど、さまざまなプラス要因もあるといえますが、公的保険などの福利厚生面ではこれまでの保証が薄くなる分、十分な対策を取った上でのスタートが望まれます。
公的保険は、現職の時も退職後もしっかりと支えてくれる制度です。仕事をしていく上での「リスク」をうまく回避できる手段をきちんと学んでいくことが大切です。