私たちも歳を重ねるように親世代も同様に歳を取っていきます。最近、介護施設に入れることになりそうだけど介護保険はどうなっているのか、退職せずに介護を続けるにはどのようにしたら良いのかというご相談も増えてまいりました。
介護保険制度は2000年に創設されたまだ新しい法律でもあり、介護を社会として支え合い、老後の不安を軽減する目的とされています。現在では、約674万人の方が要介護(要支援)の認定を受け(厚生労働省資料より)、介護の需要は高まりつつあります。
今月は、育児休業と同様に重要な項目でもある介護休業・介護休暇について考えてまいります。まず、介護される側の「要介護状態」とは以下のような状態をいいます。
- 対象家族が身体上・精神上の障がいや病気などによって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態であること
- 介護保険上の要介護状態区分が要介護2以上、または介護が必要な状態のうち、常時付き添いの必要がある場合、見守りが必要な状態が2つ以上、全面体な解除が必要な状態が1つ以上あること
このような状態の際に対象となる場合があります。
対象となる方は、65歳以上の方を第1号被保険者、40歳から64歳の方を第2号被保険者といい協会けんぽ、組合健保に加入している方が対象となっています。第1号被保険者の方は、要介護状態であれば介護保険の対象となりますし、第2号被保険者の方は加齢に伴う疾病(特定疾病)が原因で要介護(要支援)の認定を受けたときにサービスを受けることができます。
実際に介護サービスを利用する場合は、ご本人だけでは申請することが困難なこともあり、ご家族が対応することになるため、仕事との両立が課題になってまいります。
このような状況を軽減するために介護休業制度ができたということです。この制度は、お勤めの方が退職せずに雇用を継続できる制度となっています。介護休業制度には中期的にお休みをする「介護休業」と、ちょっとした介護の場面で利用できる「介護休暇」があります。
介護状態が重度な場合は介護休暇を取得することが選択肢の一つとしてあげられます。制度を理解されていない場合、自身の年次有給休暇を取得して介護にあたるケースもあるようですが、まずは介護休業制度を検討いただくことがよろしいかと考えます。
介護休業制度の概要をまとめると以下の通りとなります。
- 対象家族につき3回まで、通算で93日まで利用可能
- パートタイマーの方も要件を満たすことで取得可能
- 要件を満たせば、雇用保険から介護休業給付金が支給される
また、介護の必要性に応じて介護休暇も取得できます。
- 年5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)まで、1日単位、半日単位、時間単位などで取得できる
介護休業は、対象家族に付きっきりで対応が必要な場合に利用することが想像できますが、介護休暇は通院の付き添いやケアマネージャーとの打ち合わせなど、短時間ですむ場合などに活用できるため、2021年1月から時間単位での取得が可能となり使い勝手がよくなりました。
今後、働く世代のサポートとして介護保険制度は有効になります。退職せずに雇用を継続することが目的ですが、公的保険や法律をうまく活用することで介護をすることも可能になります。
公的保険での制度をうまく活用する方法はたくさんありますので検討してまいりましょう。