国は、未来への投資という点において直面する問題を解決しようと経済財政運営と改革の基本方針を令和5年6月16日閣議決定しました。
国が直面する「時代の転換点」とも言える内外の歴史的・構造的な変化と課題の克服に向け、大胆な改革を進めるとして発表された方針の中では、「30年ぶりの高水準となる賃上げ、企業部門の高い投資意欲など、今こそこうした前向きな動きを更に加速させるときである」として賃上げの要求も含まれており、この30年間の負債を解消すべく動いています。
また、その中には少子化対策、子ども政策の抜本的な強化内容も含まれており、今月はどのような考え方で進むのか簡単にまとめてまいります。
こども・子育て政策の強化についての中身ですが、こども・子育て政策の基本理念として以下の3点があげられています。
1.若い世代の所得を増やす(賃上げ、雇用のセーフティネット構築など)
2.社会全体の構造・意識を変える(共働き・共育ての推進、こども・子育てに優しい社会づくりのための意識改革
3.全ての子育て世帯を切れ目なく支援する(ライフステージを通じた子育てにかかる経済的支援の強化、全てのこども・子育て世帯を対象とするサービスの拡充)
この中でも1番目の所得を増やすという点においては、雇用保険の適用拡大やリ・スキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じた日本型職務給の導入、成⻑分野への労働移動の円滑化といった三位一体の労働市場改革を掲げています。
公的保険の関係でいえば、男性育児休業は当たり前になる社会にするとのことで、男性の育児休業取得を含めた育児参加や育児休業からの円滑な職場復帰支援、育児のための時間帯や勤務地への配慮等に関する目標・行動を義務付けるとともに、育児・介護休業法における育児休業取得率の開示制度の拡充を検討することや、男女で育児休業を取得した場合、一定期間、育児休業給付を手取100%にするとして、両親ともに育児休業を取得することを促進するため、男性が一定期間以上の産後パパ育休を取得した場合には、その期間の給付率を引き上げるとともに、女性の産休後の育休取得について28日間を限度に給付率を引き上げることも検討されています。
また、こどもが2歳未満の期間に、時短勤務を選択した場合の給付の創設や、育児期を通じた柔軟な働き方の推進、利用しやすい柔軟な制度にすること、育児・介護休業法において、こどもが3歳以降小学校就学前までの場合において、短時間勤務、テレワーク、出社・退社時刻の調整、休暇など柔軟な働き方を職場に導入するための制度を検討するなどとしています。
これも大きな改革となりそうですが、子育て期における仕事と育児の両立支援を進め、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットを構築する観点から、現在、雇用保険が適用されていない週所定労働時間20時間未満の労働者についても失業手当や育児休業給付等を受給できるよう、雇用保険の適用拡大に向けた検討を進めることや、自営業、フリーランスの方々の育児期間の保険料免除制度の創設など、大きな動きとなりそうです。
これらのことは、長年の課題解決に向けて整理していくものではありますが、今後の少子化対策が本格的に進むことを期待したいものです。