昨年の育児休業法改正を受けて、男性の育児休業取得が順調に伸びているようです。
厚生労働省の令和4年度雇用均等基本調査によると、前年度の13.97%から17.13%に上昇しており過去最高の取得率となりました。
また、本年4月の改正により従業員数が1000人を超える事業主は、男性従業員の育児休業取得状況を年1回公表することが義務付けられ、その速報値によると、公表した企業割合は6割弱ではあるものの、男性の育児休業取得率は46.2%であったとしています。
少子高齢化の中で、少しずつ明るい兆しが見えてきている男性の育児休業について、今後の課題点も含めて検討してみます。
前述の速報値によると、取得率と取得日数の関係性が見えてきたと示しています。それは、取得率が高いほど、取得日数が短くなる傾向が見られるとのことでした。
推測の域は超えませんが、育児休業制度の周知について一定の周知は図れたものの、まだまだ長期間にわたって取得しづらいといった環境や、職場風土の改善が困難なケースも多いのかと考えられます。
社会の機運は高まったものの、事業主や上司の考えによって左右されてしまうことが結果として残っているのかと感じます。
今後は、このムードをどのように払拭して、さらなる取得率アップを狙うのかがカギになるような気がします。
その上で、育児休業の取得率アップを狙って新たな政策が検討されています。まず、これまでの育児休業給付金の支給割合を、お給料の約67%から80%に近づけることによって、実質の手取り額を10割(社会保険料の免除分も含めて)に近づけようとする動きです。
これには一定の条件を課すようで、14日以上の休業取得であることや両親がともに休業をするなどですが、この要件を満たすことで世帯月収を減らすことなく生活ができるというものです。
また、配偶者がフリーランスであったりひとり親であったりする場合でも、給付率をあげる検討がなされているとのことです。
さらに、職場復帰後に時短勤務を行なった場合において時短分の賃金が減ることになりますが、お子さんが2歳までの間に時短勤務を行なった方に対し、一定の率での上乗せ給付も検討されています。
しかし、この動きに反面する動きが財政の問題となります。
育児休業給付金の支給額は年々上昇しており、令和2年度に242億円だったものが令和5年度予算では876億円となっており、財源の確保が大きな課題となってきているとのことです。
コロナ禍による雇用調整助成金で大きく動いた財源確保のために雇用保険料率も上がりましたが、さらなる上昇も避けられないことのようです。
両親がともに育児休業を取得することで、家庭内での育児や家事の分担が行うことができ、お母さんだけの負担を減らすことも狙いの一つではありますが、心地よく育児休業を取得していくには、国の対策はこれからというところのようです。