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治療しながら働く人を支援する

最近、筆者の同年代においても、様々な病気が原因でこの世を去るケースが多くなってきています。

それは年齢の要因もあるかもしれませんが、生活習慣がもたらすものもあれば、がんなどの病気が原因となるケースも一定程度おり、いつ自分に襲ってくるかわからない目に見えない敵との戦いになっているような気がします。

がんに限らず、病気で治療しながら働く割合は、働く人の40%を占めていることもわかり(厚生労働省、国民基礎調査より)、何らかの病気にかかっている割合が高くなっています。
今月は、働きながら病気治療を行う方にとっての公的保険の有用性について考えてみます。

 

厚生労働省が公表した令和5年の簡易生命表によると、令和4年は平均余命が減少傾向にありましたが、5年になると前年と比較して、男女ともに上回ってきているとしています。

元気で長生きする一方で、死因についてはここ数年がんによるものの割合が多いのですが、平均寿命を伸ばす方向でも動いているといいます。

これは、がん治療が進み、働きながらでも治療ができる環境が根付いてきた結果といえるでしょう。早期発見によって助かる命が多いことは事実ですので、日頃からの健康診断などは怠らずに行っていただきたいものです。

病気になって、一時的に働けなくなるなどの場合には、健康保険の「傷病手当金」がありますし、治療費が高額になる場合は「高額療養費制度」もあります。

治療費が事前に高額になると見込まれるときには、「限度額認定申請」を行うことで、窓口での負担を減らすこともできますので、健康保険制はとても有用です。

傷病手当金は、令和4年1月からは、期間を通算する制度になりましたので、仮にがん治療を一旦終えて復職し、再度入院治療などが必要になった際に、1年6ヶ月の間であれば残りの日数を受給することができるようになりましたので、働きながら治療する方にとっては扱いやすくなったといえます。

働けなくなった時の可処分所得を知っておくことも大切です

健康保険料などはお給料の15%程度かかりますので、傷病手当金が受給できたとしても、保険料の負担を考えると毎月の可処分所得は減ってしまいます。不測の事態の備えは、公的保険を活用することを前提に、足りない部分を民間の保険商品で補う考え方も必要ですので、ご自身のライフスタイルに合わせた選択をすることがポイントとなります。

 

中長期にわたる治療が必要な場合は、会社への報告も必要になりますし、働き方の配慮を求めるなどのまわりの理解も得られることがプラスになります。プライバシーに関わることであり、他人には知られたくない思いがある方も多いと聞きますが、できるだけ支援を受けられる体制作りをしておくことも重要です。

重要な責任のある仕事であれば、クライアントとの調整も必要になりますので、日頃からサポート体制を確認しておくことが、自分を守るセーフティネットの一つなのかもしれません。

 

上記のような公的保険制度の充実はありますが、育児休業制度のようにさらに手厚くといったプラスアルファの制度が待たれるところです。

公的保険制度が有用であるのはご理解いただけたかと思いますが、事業主側の対応も追いついていない状況もあるようですので、双方の理解がある社会になっていきたいものです。